鉄道 第2章 編集後記
本文はベンが好き勝手に書いたので、ここは私、カッペイがマジメに記すこととします。エッヘン。
随分と前に訪ねたことはあるものの、旅行前の私にとって、栃木と聞いて想起するのは「日光」「那須高原」「宇都宮餃子®」くらいで、まさに近くて遠い関東圏といったイメージしかありませんでした。今思えば、当時の私は年齢も若く、旅に対する意識も低かったのでしょう。見るもの、触れるもの、出会うものに対する情報処理能力、解像度も低かったのだろうと想像します。
今回その無知さを伴いながらも、敢えて「鉄道」をテーマに選んだ栃木の旅。
結果は記事をご覧いただいたとおり、想像を遥かに超える充実度をもって終えることが出来、今となっては今回周り切れなかったエリアや体験をいつ計画しようか、悩み始めているほどです。
そう思うに至った理由を自問自答したとき、挙げられるのは以下の3点です:
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1. 訪問地の魅力と、そこに携わる人々との触れ合い
今回の訪問先には、それぞれ時間とともに繰り広げられた秘めたる歴史があり、ただ「見る」「読む」「触れる」だけでは知り得ないストーリーや魅力を、現地で生活する人々と会話・交流することで臨場感を以て伝えてもらえたこと。
日光東照宮はじめ、渡邊佐平商店、SLもおか、長倉線などなど。
どれもがそこに存在する理由を知りたくなる、そんな知識欲をそそる場所がてんこ盛り。
「料理やお酒も、食材や製法にまつわる話を聞けば聞くほど、美味しさが増すんだよなぁ・・・。」
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2. 単なる移動手段ではない!「鉄道」がもたらす、情緒的価値の発見
インターネットがもはや社会のインフラとなりデジタルの大波に吞まれる日常の中で、鉄道という移動手段が如何に人間的で、エモく、ひとの心を映す存在か、ということに改めて気付かされたこと。
行く先々で、「車窓に映る流れゆく街の景色」、「車掌さんのアナウンス」、「乗客の仲間と楽し気に会話する様子」「慌ただしく乗降する様子」に触れ感慨にふけっていると、車両までもが、何処か魂が宿っているような愛着を醸しているように目に映る。ひとやモノを運ぶ手段だけど、ひとの心も運ぶ。それによって、それぞれの街が街として彩られてゆくんだ。
「嗚呼、鉄道の旅っていいなぁ。。。」
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3. 還暦前のおじさん2人のモノを見る目の鋭さ
相棒のベンが映像のプロということもあり、ものを見る視点や発想が鋭いせいで、数倍楽しめたこと。これは揺るぎない事実。
ただ、これは年を取って涙もろくなるのと同様に、互いに50年以上の人生で得られた経験や、知見・知識によって高まった情報処理能力・解像度により得られたものだと確信する。
かつて訪れたことのある同じ目的地でも、その時と今とでは見え方が変わっている。
「旅とは、『時間の旅』でもあるんだなぁ。。。あれ?俺良いこと言ったかも?」
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栃木、良いですよ。独特の歴史と文化があり、うまい料理と酒があり、そして温かいひとがいる。
まだまだ行き足りてないところは、次の機会を作って計画を立てたい。
今度は妻と?
いや、また寂しがり屋のベンを誘ってみるか。。。
台風10号の直撃を危機一髪で回避した、還暦前の晴れ男2人による鉄道珍道中は、こうして幕を閉じたのであった、めでたし、めでたし。
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鈴木勉、杉本洋平
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職業:映像ディレクター
プロフィール:19xx年生まれ。映画、TV-CM、ショートフィルム、ミュージックビデオなど、幅広いジャンルの映像を手掛ける。
※撮影日:2024年8月26日~8月27日
※掲載されている情報は2024年10月10日現在のものです。内容の変更等でご利用できない場合がありますので、あらかじめ出発前にご確認ください。